本記事では、「FD-300S」という型番のロータリーブロワーについて詳しく解説します。
紹介するメンテナンス方法は他の型番にも応用可能ですので、さまざまなロータリーブロワーの維持管理に役立ててください。
こちらのブロワーは「1分あたり300リットルの空気を排出」することが可能なタイプです。
ロータリーブロワーは槽内の微生物への酸素供給、移送、返送、循環配管へ、エアーを送る役割を果たしています。
内部にあるローター(回転体)が空気を吸引し、吐出口から排出する仕組みによって動作しています。
高圧を発生させて持続的に稼働し、安定した風量を供給します。
定期的なオイル交換やフィルター清掃を含むメンテナンスにより、ブロワーの運転を保ち、継続的な空気供給が可能です。
ロータリーブロワーの外観
まず、「異常音」が発生していないか確認しましょう。
異音がある場合、ベアリングに問題があるか、オイルが循環していない可能性が高いです。これらが原因で本体が焼き付いてしまうことがあります。
フィルター清掃
電源を切りベルトの損傷がないかを確認しましょう。次に、上部にあるフィルターカバーを取り外しフィルターを清掃します。
フィルターを清掃した後、写真を参考にしてフィルターを正確に溝に合わせ、元の位置に戻してください。これはブロワーが正常に機能するために重要です。
しっかりと溝にフィルターを合わせる!
本体にオイルが回っているかを確認
フィルターの受け皿は反時計回りに回すと取り外せます。写真では内部が暗く詳細が見えにくいかもしれませんが、直接視覚で内部を確認できます。
次に、ベルトを手でゆっくり回しながらオイルが均等に行き渡っているかどうか確認しましょう。オイルが適切に循環していれば光沢が見られます。オイル循環が正しく行われている証拠です。
内部が乾燥している場合は、オイルの循環が不足しています。
オイルゲージ確認
次に、オイルの量をゲージでチェックしましょう。
オイルの量がゲージ上で指定された範囲内にあるか確認してください。基本的にはオイルをできるだけ満タンに近い状態で保つことが推奨されています。
点滴ノズルの確認
全てを元に戻した後、電源を入れて点滴ノズルからオイルが滴下しているかを確認しましょう。
オイルが正常に循環しているかどうかをチェックできます。
以下の動画では、新品のロータリーブロワーを使いオイルが滴下する速度を示しています。
ネジの溝清掃
オイルの滴下速度が遅い場合、汚れやゴミが詰まっている可能性が高いです。対処するために以下の手順を実行しましょう。
- 電源を入れ、写真通りにネジを緩める
- オイルが滲んでいるか確認
- オイルが回っていない場合は以下
- 電源を切る
- プラスドライバーでネジ溝を外す
- ブラシでネジ溝を清掃
ストレーナー清掃
オイルが循環しない一つの原因は、ストレーナーの詰まりです。ストレーナーは汚れを取り除くフィルターの役割を果たしています。
ストレーナーを取り外す際は、オイルのこぼれを防ぐために作業エリアの下にウェスや容器を敷くことをオススメします。
ストレーナーが詰まる主な原因は、汚れたオイルやゴミが固まることです。ソフトブラシやウェスを使用しクリーニングしましょう。
クリーニング後、ストレーナーを取り外し新しいシールに交換してください。この作業と併せてオイルも交換すると良いでしょう。
これらの手順を行うことでブロワーの性能を長期間維持することができます。
洗浄前後の画像を比較することで、清掃の効果を明確に確認できます。CR-Cや古布を使用して洗浄作業を進めましょう。
詳しい分解方法については動画をご覧ください。
本体側とモーター側で異音の原因は異なる
異音の原因は装置の本体とモーターで異なります。
ベルトを外してモーターだけで運転させることにより、音が本体から発生しているのか、モーターから来ているのかを判別できます。
もし「ゴリゴリ」という音が聞こえる場合は、一般的にベアリングの摩耗が原因です。モーターに問題がありクリープ(変形)がなければ、ベアリングを交換することで修理が可能です。
モーター側のプーリーに少しでも遊びがある場合は、モーターを交換する必要があります。
本体側の異音
ブロワー本体のプーリーが重たく感じたり、引っかかる現象が発生し金属が擦れ合う音がする場合は、部品の焼き付きが発生している可能性があります。
オイル不足が原因で起こり、潤滑がされていないため部品が焼き付いている可能性が高いです。
- オイル不足:潤滑油が不足すると部品の摩擦と熱が増大し、焼き付きの原因
- ローターの劣化:ローターの劣化は性能低下と過大な負荷を引き起こし、部品の焼き付きやプーリーの動きを妨げる
- 汚れの付着:オイルやホコリの汚れは摩擦と発熱を増加させ、プーリーの動作を悪化させる
まとめ
メンテナンスには以下のような項目が含まれます。
- フィルターの清掃
- ホコリの侵入を防ぐフィルターが詰まると浄化槽の効率が低下します。そのため、定期的な清掃が必要です。
- オイルの交換
- オイルが劣化すると潤滑が低下し、焼き付きの原因になります。メーカーが推奨する周期での交換が重要です。
- ベルトの調整
- ベルトの緩みは浄化槽の性能を低下させます。定期的な張り調整が必要です。
- 異音・振動の確認
- 異音や振動は故障のサインです。異常を感じたら速やかに点検・修理を行ってください。
- ベアリングの劣化
- 劣化したモーターやベアリングは回転問題を引き起こします。これらは修理や交換が必要です。
- 散気管の詰まり
- 異物の詰まりはブロワーの負荷を増加させます。定期的なチェックと清掃が大切です。
- モーターと本体のチェック
- コンセントを差しても動かない場合は、モーターのオートカット機能が作動しているか、本体がロックしている可能性があります。ベルトを外し、モーター単体での運転が可能か、また本体が軽く回るかを確認してください。
- 回収ホースの確認
- 回収ホースが茶色になっている場合は、オイルが切れて本体が焼き付いている可能性があります。
- 解除方法
- 吸気口を外し、パーツクリーナー、灯油、またはブロワオイルを少量入れ、プーリーを少しずつ左右に回してみてください。これにより、ロックが解除されることがあります。
- 損傷の確認
- これらの手順を踏んでも異音が残る場合、内部に傷が入っている可能性があります。焼き付いた原因を調査し、循環不良や吐出圧力不足などの問題を解決する必要があります。
- 圧力の確認
- ロータリーブロワは圧力によりオイルを本体に押し上げます。無負荷ではオイルが循環しません。配管の途中でエア漏れがないか、圧力計を使用して0.01〜0.03MPa(10〜30kPa)の圧力があるかを確認してください。
- 修理の可否
- 本体が軽く回り、異音が許容範囲内であれば使用可能です。しかし、改善されない場合は、羽根やシリンダー内壁に損傷があり、修理不可能な場合があります。
浄化槽のロータリーブロワーは槽内に空気を供給し、微生物の活動を活性化させる重要な役割を果たします。
ロータリーブロワーの効率的な運用と長寿命を保つためには、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
異音の確認やオイルレベルのチェック、フィルターの清掃は機器の性能を最適に保つために重要です。
これによりブロワーは最高の状態で運用し、浄化槽の機能を支え続けることができます。
オイルがネジの溝を通じて流れていることが分かります!