浄化槽の水質管理に必要な項目!
浄化槽の保守点検記録票には「pH、DO、亜硝酸性窒素」などの記録があります。
これらの項目は浄化槽の正常な機能を確認するために非常に重要です。本記事では、初心者の方にも分かりやすく、これらの項目について簡潔に解説しています。
■ 点検記録票とは?
■ pHとは?
■ DOとは?
■ 亜硝酸性窒素とは?
【浄化槽管理】点検記録票で透明な状態を保とう
皆さんは、浄化槽の点検記録票を管理業者から受け取っているかと思いますが、その用紙の内容についてご存知でしょうか?
浄化槽保守点検が終了すると、管理業者から検査結果が書かれた紙が渡されます。こちらが点検記録票です。
地域によってわずかな違いがあるかもしれませんが、一般的には以下のような用紙が使用されています。以下に具体的な内容を示します。

実際には、記録票を見ても理解しにくい内容が書かれているため、多くの人は異常の有無を判断するために簡単な2択で考えることが一般的かもしれません。
しかし、浄化槽の点検記録票は費用がかかっている重要な文書ですので、少しでも理解できるようになることは学びになります。
そこで、浄化槽の点検記録票に記載される3つの項目(pH、DO、亜硝酸性窒素)について簡単に解説していきたいと思います。
これらの項目を理解することで、浄化槽や環境に対する意識が深まり、より良い環境を守ることにつながるでしょう。
【水のバランス】pH値が酸性からアルカリ性まで

pHという言葉は聞いたことがあっても、その意味を正確に理解している人は少ないかもしれませんね。
簡単に説明すると、pHは「水素イオン指数」のことで、数値で表されます。
この数値が低いほど酸性を示し、高いほどアルカリ性を示します。
例えば、レモンは酸性でpHが低く、家庭で使う洗剤などはアルカリ性でpHが高いとされています。(ただし、商品によって異なる場合もあります)
正確なpHの数値は、浄化槽の点検記録票に記載され、水中の酸性やアルカリ性を把握するために重要です。
適切なpHの範囲を保つことは、浄化槽が効果的に機能し、環境に負荷を与えずに水を処理するために不可欠です。
台所がにおうな~
余談ですが、台所などの気になるニオイはお酢をかけると解消できると言われています。
また、「重曹はアルカリ性であり、クエン酸は酸性」です。これらを上手に使い分けることで中和させることができ、ニオイを解消することができます。
台所のニオイの大部分は酸性なので、重曹は非常に効果的です。
アルカリ性と酸性のニオイは異なる
■ アルカリ性のニオイ
・ 魚、肉、の腐ったニオイ
■ 酸性のニオイ
・ 生ゴミのニオイ
・ 焼き魚、焼き肉の残飯
・ 野菜が腐ったニオイ
pHを測る理由は、浄化槽内の微生物が正常に機能しているかどうかを確認するためです。
微生物が酸性またはアルカリ性に偏ると、適切な浄化処理が行われず、排水水質が悪化する可能性があります。
放流基準では、「pHが5.8から8.6の範囲に収まっているかどうかチェック」しています。
pHが低い場合、浄化槽内の環境を改善するために、空気逃がし配管や間欠タイマーが使用されることがあります。
間欠タイマーは、浄化槽が低負荷または使用頻度が低い場合に効果的であり、「電気代やCO2排出削減」にもつながります。
また、人間の胃のpHは約1.0と非常に酸性です。胃の中を例に取ることで、浄化槽内の環境のpHについてイメージしやすくなります。
以下の動画では、間欠タイマーユニットの紹介と使い方が解説されています。
pHが低くなる原因は、後に登場する硝化反応が進行していることに関連しています。
下記の動画では、pH計の校正方法が詳しく解説されています。
安価なpH計やDO計は、数値がすぐに狂ってしまうというデメリットがあります。
そのため、ここで紹介しているpH計やDO計は、本格的に仕事で使用するプロの方におすすめです。
【水中の生命維持】DO(溶存酸素)がキーポイント

DOとは「溶存酸素」のことであり、「水中に溶け込んでいる酸素の量を測定する指標」です。
浄化槽内には、酸素を必要とする微生物が生息しています。これらの微生物は生物処理に欠かせず、適切な酸素供給がなければ効率的な浄化作用は期待できません。
そのため、DOの値を測定し、酸素供給の適正さを確認することが重要です。
酸素がないと死んじゃうよ~

DOは、「浄化槽内の微生物に十分な酸素供給が行われているか」を調べるために測定されます。
通常、DOの基準は1.0~3.0以上とされており、多くの現場では基準をクリアしています。
しかし、油や嘔吐物などが浄化槽に入ってしまうと、これらの物質が微生物に栄養を供給し、微生物が増殖してしまうため、酸素が不足して酸欠状態に陥ります。
これにより、水質が悪化することがあります。
もし空気(DO)が足りない場合は、ブロワーの風量を増やしたり、シーディング剤を投入するなどの対応が考えられます。
詳しくは「過食、嘔吐」の詳細記事をご覧ください。
窒素の役割】空気中の78%が窒素で構成されていることを知っていますか?

亜硝酸性窒素は、植物の成長に必要な栄養素の一つであり、肥料にも含まれています。
この物質は、空気中の窒素を植物が吸収可能な形に変換する役割を果たし、植物の葉や茎、根などを健康的に育てます。
要するに、亜硝酸性窒素は「植物の栄養源」となるものです。
浄化槽では、微生物の活動によって有機物が分解され、亜硝酸性窒素が生成されます。
適切な濃度を維持することで、浄化槽内の微生物のバランスを保ちながら、水質の浄化を促進することができます。
また、一般的に空気中の酸素濃度は約21%とされています。さらに興味深いことに、空気中の主要な成分のほとんどは窒素であることも知られています。

浄化槽に入る水には、アンモニア性窒素が含まれています。
浄化槽内の微生物が浄化作用を行うことで、「アンモニア性窒素は硝化という化学反応を経て、亜硝酸性窒素に変化」します。
さらに、亜硝酸性窒素は硝化が進むと硝酸性窒素に変化し、大気中に気化して窒素として循環します。つまり、窒素は地球上で循環しているということ。
アンモニア性窒素が亜硝酸性窒素に、そして硝酸性窒素に変化する過程を繰り返すことで、pH値が下がる要因となります。
窒素は栄養源であり、過剰な窒素の放出は微生物の増加を引き起こし、結果として水質の悪化をもたらします。
窒素の除去によって水はより清潔になります。逆に、水中の栄養分が過剰な場合、海の赤潮のように水質が悪化することがあります。
亜硝酸性窒素を測定し、硝化反応が出ているかを確認するために測定しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
専門的な観点からもさまざまな意見があるかもしれませんが、わかりやすく解説すると、浄化槽の記録票をただ見るだけでなく、理解して見ることは楽しく知識を得る機会になります。
知識を持つことで、より良い未来の環境を作るための行動が可能になります。
わずかな行動でも、環境に良い影響を与えることがあります。