浄化槽って何?浄化槽の仕組みから浄化槽のメリットまで徹底解説!!
皆さんは「浄化槽」というものの仕組みをご存知でしょうか?
現在、日本に住んでいて、浄化槽があるかないかで生活が大きく変わると言っても過言ではありません。浄化槽は非常に重要な役割を果たし、私たちの生活に多くのメリットをもたらしています。
ここでは、浄化槽とは何か、そして生活上でどのようなメリットをもたらしているのか、詳しく解説していきます。
浄化槽の生い立ちや槽内の仕組みまで

浄化槽って何?という方もいらっしゃるかもしれません。一般的に、トイレの水洗いで流れる汚水は、下記のように処理されます。
- 下水道に直接流される
- コミュニティ・プラントに流される
- 浄化槽に流される
これらのうち、浄化槽に流された汚水は、「微生物の働きを利用」して分解・浄化され、最終的には側溝や河川に放流されるのです。つまり、浄化槽は汚水を分解・浄化するための施設です。
浄化槽は日本独自の汚水処理施設で、多くの家庭の敷地内に設置されており、「身近な汚水処理施設」といえます。
浄化槽の歴史

浄化槽ができた背景には、1960年頃から高度経済成長期を経て、国民の生活水準の高まりと合わせて水洗トイレに対する要求が大きくなったことで、単独処理浄化槽が急速に普及しました。
しかし、その後トイレ以外の生活排水を含めた汚水が多くあるため、それらの汚水を適切に処理する必要があり、合併処理浄化槽が普及しました。
既存単独処理浄化槽は水環境保全の観点からは万全なものとは言えない状態で、2000年以降は「単独処理浄化槽の新設が禁止」となりました。
現在(平成13年4月以降)は、下水道予定処理区域以外では、水洗トイレからの汚水、台所、浴室、洗濯の生活雑排水を一緒に処理することができる、「合併処理浄化槽のみ設置可能」となっています。
浄化槽の仕組み

浄化槽内では、汚水が4つの段階を経て丁寧に浄化されます。
最初の段階では、「嫌気ろ床槽」と呼ばれる場所で、ろ材が浮遊物を取り除いてくれます。この段階で汚水は少しずつクリアな状態に近づいていきます。
次にやってくるのは、「接触ばっ気槽」という場所。ここでは「好気性微生物」が活躍し、汚水中の有機物を分解して浄化してくれます。微生物たちはその力強さで、水質を改善してくれるのです。
さらに進むと、「沈殿槽」という場所が現れます。ここでは、有機物が沈殿し、クリアな水を作り出します。この段階で、浄化は一層進み、水の質はますます良くなっていきます。
最後にやってくるのは、「消毒槽」と呼ばれる場所です。ここでは、微生物やウイルスを滅菌するために、塩素消毒が行われます。
これによって、安全で衛生的な水が確保され、最終的には放流されるのです。
そして、「浄化槽のブロワー。これはまさに浄化槽の心臓部と言える重要な装置」です。ブロワーは酸素供給の役割を果たし、槽内の好気性微生物たちが活性化し、より効果的に浄化を行うのです。
浄化槽内では、微生物が汚水中の有機物を分解し、ろ材によって固形物を取り除いた後、沈殿槽で上澄み水をきれいにします。
そして、消毒槽で塩素消毒を行い、衛生的かつ安全な水に処理され、放流されます。このように、浄化槽では複数の工程が組み合わさっていることがわかります。
普段気づかないうちに体験している浄化槽のメリット!

浄化槽を使用することによって得られるメリットは以下の通りです。
- 定期的な清掃、点検、検査により、排水処理を維持できる
- 下水道使用料金を抑えられる場合がある
- 下水道の設置費用よりも安いケースもあり
- 水道水の使用量から算出される下水道使用料金が、浄化槽使用量には関係がないため、費用が安くなる
特に、水道水の使用量が多いほど下水道使用料金が高くなるため、浄化槽を使用することで、費用を抑えることができます。
さらに、下水道を利用する場合には、市町村に支払う必要がある受益者負担金も不要となるため、多くのコストを削減できるというメリットがあります。
これらの点を覚えておくと、浄化槽の利用が経済的にも有利であることが分かります。
浄化槽から下水道に切り替えるには?
浄化槽にはさまざまなメリットがあることを説明しましたが、下水道とは違い、定期的なメンテナンスが必要です。
そのため、やはり浄化槽は面倒だと感じる方もいるかもしれません。
以下で、浄化槽への切り替え作業の方法について触れていきます。
こちらの動画でも詳しく解説しています。
どの家庭でも下水道に切り替えられるわけではない!

浄化槽から下水道に切り替えることは、すべての家庭でできるわけではありません。
それは、各市区町村で排水処理方式があらかじめ決められているからです。
下水道に切り替え可能かどうかは、住んでいる地域の自治体に確認する必要があります。
下水道が使用できる地域の場合は、市町村役場に「公共下水道使用開始届出書」を提出する必要があります。
専門業者に工事を依頼することで、スムーズに手続きを行うことができます。
費用については、下水道と接続する下水道本管が近い場合は、大きな工事にはならないため、おおよそ「30万円程度」が費用相場と言われています。
しかし、本管の場所が遠い、もしくは複雑な場合は、広範囲の工事になり、工事費用は「50〜100万円」と大幅に費用が増える可能性があります。
下水道に切り替える際には、費用についても事前に確認しておくことが大切です。
まとめ

これまで、浄化槽がどのようにして生まれ、汚水処理の仕組みについて紹介してきました。
浄化槽を設置することで、汚水を効果的に浄化し、環境汚染を防ぐことができます。
また、下水道使用料金を抑えたい場合や設置が可能な場合には、浄化槽の導入を検討することをおすすめします。