浄化槽からの漏水は放置NG!浄化槽から漏水!?修理をしないといけないの?
結論必要です!
この記事では、浄化槽の修理方法について解説しています。
浄化槽の修理にはどのような作業が必要で、どのような道具が必要なのか、また業者に依頼した場合の修理費用がどの程度かかるのか、注意すべきポイントなどについても解説しています。
簡単な修理であればご自身でも修理可能です。
この記事を見て分かること
■ 浄化槽の漏水、補修方法、修理に必要な道具
■ 浄化槽の修理費用の大体の相場
■ 自分で作業する際に注意するポイント
こちらの3点を詳しく解説していきます。
浄化槽修理に使う道具
必要な道具はFRP樹脂、ガラスマット、硬化剤、サンドペーパー、ローラー、刷毛(はけ)、アセトン(シンナー)です。
これら全てが揃っているキットが下記の商品になりますので参考にしてください。

使い方は説明書にも記載されていますが、実際に作業している写真を見ながら解説していきます。
FRP樹脂って何?軽くて丈夫なプラスチック!
FRPは「繊維強化プラスチックで、軽くて丈夫なプラスチック」というイメージして下さい。
小型船などでも使用され、足元に繊維状のキラキラしたものが見えることがありますが、それはFRP樹脂とガラス繊維マットを混ぜて作られたものです。
軽くて丈夫で、船に最適な材料であるため、同じ素材が浄化槽にも使用されています。

実際のガラス繊維マットの写真です。
このガラス繊維マットをハサミなどで貼りやすいサイズにカットして使用します。
実際の作業風景

今回は、浄化された水が写真中央にある越流堰を越えて消毒剤を通り、放流管に流れていく仕組みであるはずが、割れた箇所から水が侵入し、大腸菌などの菌が滅菌されずに放流されていたケースで解説します。
FRPを貼るまでの手順
■ 割れている部分をキレイにする
■ 粘土や水中ボンドがあれば割れ目に詰める
■ 完全に水気を取る
■ FRP樹脂に硬化剤を混ぜて、ガラスマットを貼る
作業手順
まず、割れている箇所をブラシで掃除し、サンドペーパーで軽く擦って汚れやゴミを取り除きます。
粘土や水中ボンドがあれば、どちらかを塗り込みます。(無ければ問題ありません。)
その後、トーチや布を使用して完全に水気を取ります。「水気があると固まらないため、必ず水気は取り除いて」ください。
次に、FRP樹脂に硬化剤を混ぜ、ローラーや刷毛(はけ)を使ってガラスマットを割れている箇所に貼り付けます。

貼り付け作業が終わったら、しばらく放置して「完全に固まる」のを待ちましょう。
硬化剤の量や気温によって固まる時間が異なるため、必ず説明書をよく読んでから作業を行いましょう。
暖かいと固まりやすく、寒いと固まるのに時間が掛かります。
時短したい場合、ドライヤーや電気ヒーターなどを使用すると固まるスピードがとても早くなります。
ですが、その際には注意が必要です。
こちらの動画をご覧ください。
※急いで硬化を促そうとして、ドライヤーや電気ヒーターを近づけすぎてしまうと、FRP樹脂が割れてしまい、作業をやり直すことになります。
初心者の方は時間がかかるかもしれませんが、自然に完全に固まるまで待つことをおすすめします。
この感覚は経験がないと難しいところです。
使用済みのローラーなどはアセトン(シンナー)でしっかり洗い落としましょう。
洗わずに放置しておくとローラーが固まり使用できなくなってしまいます。
ただし、ローラーは消耗品であり、アセトンで洗っても2~3回程度の使用で固まって使用できなくなる場合があります。
手袋を着用し、貼り付けた箇所を直接触り、完全に固まったことを確認してください。
手袋を着けて触った際にFRP樹脂が付着している場合は、まだ完全に固まっていない可能性があります。
そのため、手袋に樹脂が付かなくなるまでじっくりと待ちましょう。
水を溜め、割れていた箇所から水が漏れていないかを確認し作業終了になります。
固まったのを確認し水張りした写真です。

少し違う写真に見えるのはマンホールの取り替えも行っているからです。ご了承ください。
一般家庭の浄化槽漏水修理の相場

地域業者や現場の状況によって異なるので、「一般家庭の浄化槽修理の費用は10万円〜30万円程度が相場」です(割れている箇所によって異なります)
結構高いなぁ~
費用が高いように感じるかもしれませんが、浄化槽内に入って清掃をするため、非常に困難な作業であり、狭い中で何時間も作業する必要があるため、この価格は妥当です。
費用が高く感じる場合は、別の会社に見積もりを取ることで相場を知ることもできます。
一度別の管理会社に相談してみることをおすすめします。
なお、「今回紹介した消毒槽の修理は、槽内に入らずにマンホールの上から作業できる方法」です。
この記事を読んで、節約したいと思った方や自分でやってみたいと思った方は、ぜひチャレンジしてみてください。
自分で漏水修理をする際の注意ポイント
■ 換気をする
■ 一人で作業をしない
■ こまめな休憩をとる
たまに、お客様ご自身が槽内に入って修理をするという方がいます。
今回紹介したFRP補修キットを使い漏水修理をすることができますが、初心者の方が作業をする際は、上記の3つのポイントを守ってください。
また、「浄化槽の種類によってはFRP樹脂ではないものもありますので、自分で修理をする際は、管理会社にこの補修キットで直せるかどうかの確認」をしてください。
最近のコンパクト浄化槽は、「FRP製ではなく、ジシクロペンタジエンという樹脂」が使用されています。
換気は必須
槽内に入る場合は、下記のようなダクトを使用して作業してください。
特に夏場は暑くなるので、気づかないうちに熱中症や脱水症状になる可能性があります。
また、「FRP樹脂と硬化剤が混ざると独特のニオイがするため、マスクを着用し、ダクトを使用して必ず換気」を行ってください。

一人で作業はしない
一人で槽内に入る作業は絶対に避けてください。
万一に備え、誰かがそばにいて見守っていることが必要です。もし槽内に入る必要がある場合は、必ず複数人で作業を行いましょう。
マンホールの上から作業を行う場合は一人でも構いませんが、「槽内に入る際には絶対に一人で行わないように」してください。
こまめな休憩を挟む
初心者の方はペース配分が難しく、一気に作業を終わらせようとしてしまうことがあります。
繰り返しになりますが、無自覚のうちに体力を奪われて熱中症になる危険性があるため、こまめな休憩を取りながら作業を進めてください。
まとめ
結論としてはやはり専門の業者に修理を依頼することをおすすめします。
ただし、修理内容によっては初心者でも簡単に修理できる場合もあります。
そのため、まずは業者に割れている場所を聞いて、自分でもできそうだと思った場合は、自分で修理することで費用を節約することができます。

越流堰とは上澄みの水を均等に放流させるための堰です。