嘔吐、油について
この記事では、浄化槽を使用している方が気になっている嘔吐、過食、油の対処方法についてわかりやすく解説しています。
結論からいうと以下の3つになります。
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嘔吐、過食、油の対処方法
■ 油を流す量、使う量を控える
■ 嘔吐が多い場合、新聞紙、キッチンペーパーなどに水分を吸わせて可燃ごみに出す
■ 浄化槽の清掃回数を増やす
嘔吐、過食、油の流入が多い浄化槽を正常な浄化槽と見比べながら解説していきます。
紹介する浄化槽は、クボタHY型浄化槽です。

正常な浄化槽との違い、1槽目

まず水の流れていく順に番号を振ります。
理由は、油や汚泥が配管、計量マスで固まってしまっているからです。
料理で油を使用した場合は「キッチンペーパーや新聞紙」を使い、ある程度食器をキレイに拭いてから洗剤で洗い流すことをおすすめします。
正常な写真と比べると明らかに汚れ具合が違いますよね。
(正常な状態は2枚目の写真です)

軽量マスの横にあるエアリフト配管がHY型の「一番詰まりやすい箇所」になります。
エアリフト配管が詰まってしまうと満水状態となり家中の水の流れが悪くなります。
※例えばお風呂やトイレ、台所(水まわり全般)
2番の左側にある配管はオーバーフロー用の配管です。
オーバーフロー用配管が一定の水位以上は溢れない仕組みになっています。
マンホールから汚水が溢れないように対策されています。
正常な浄化槽との違い、2槽目
(正常な状態は2枚目の写真です)


正常の写真と比べると過食、嘔吐、油の使用が多い浄化槽は水質が白濁し油分が混ざったニオイで少し鼻につく感じです。
イメージとしては(下水のニオイ)
3、4番で微生物により好気処理をしています。
3、4番でキレイに好気処理される際に、微生物同士が食べ合い大きくなります。
「大きくなった微生物は重みで底部に沈み、汚泥返送管によって最初の1番に返送される仕組み」です。
モリモリ食べておっきくなるぞ!
正常な浄化槽との違いは色、沈殿槽、消毒槽編
処理された水は5番の沈殿槽に流れ、固形物と液体に分離し、滅菌消毒された上澄み水が流れて放流されます。
(2枚目の写真が正常です)


5番の沈殿槽を見てもらうとわかると思いますが、正常な状態と比べると水の色が全く違います。
5番から越流堰(えつりゅうぜき)を通り、消毒剤で滅菌され放流されます。
なぜ油や嘔吐、過食の場合うまく処理されないの?

浄化槽なのになぜうまく処理できないの?
理由は「一般的な場合、体内である程度処理された物がおしりから排出される」のですが「嘔吐の場合、体内で処理される前に口から排出される」からです。
油や食べカスが微生物の数を増やしてしまい、エサが多くなっている状態となり、浄化槽とはいえなかなか処理が追いつかなくなります。
エサが多くなる=微生物が増えすぎる=水質が悪くなります。
嘔吐、過食、油の使用が多いと浄化槽からニオイが出る
飲食店の近くを通った際に下水から油のニオイを感じたことがある方もいると思います。
どうしても飲食店は油の使用量が多くなるのであのようなニオイが出てしまいます。
過食、嘔吐、油の使用が多くなると配管、槽内に少しずつ溜まっていくので、あのようなニオイの原因になります。
便器に嘔吐物を溜めて一気に流してしまうと、詰まりの原因にもなるのでこまめに流してください。
ニオイが気になる方は一度「シーディング剤」を使用してみて下さい。
シーディング剤は微生物の活性化を促し脱臭効果や水質改善効果があります。
使用方法も簡単でトイレにシーディング剤をそのまま流すだけです。

まとめ
■ 油は紙類、固めるテンプルなどを使用し直接流さないこと。
■ なるだけトイレで吐かない、吐く際はこまめに水を流し詰まりを防ぐ。
■ 嘔吐物の水分は紙類に吸わせて可燃ごみに出しましょう。
■ 浄化槽からニオイが気になる場合は汚泥引き抜き清掃を行う。
もし管理業者に、「油の使用が多い」などの指摘をされたことがある場合は、遠回しにこのような状態になってますよ、と仰られている可能性があります。
その際は、どれくらいの頻度で清掃したらよいかを管理業者に聞いてみましょう。
早めの「清掃が一番効果的」です。
ただ、費用が掛かってしまうということがデメリットにはなります。
ですが、ニオイやご近所さん環境のことを考えると一番効果的で、即効性があるのでおすすめの対処方法となります。

オーバーフローとは溢れる水を排出する配管のこと。