浄化槽内の害虫被害を防ぐために必要な5つのポイント!
浄化槽を使用している方で、浄化槽内での「害虫被害に悩んでいる方」は多いと思います。
浄化槽内にはさまざまな害虫が存在し、これらが増殖すると悪臭や異臭、不衛生な状態を引き起こすだけでなく、排水処理の能力低下にもつながる可能性があります。
しかし、適切な対策を講じることで、害虫被害を未然に防ぐことができます。
ここでは、害虫被害を防ぐための5つのポイントをわかりやすくご紹介します。
もし害虫に興味がある方は、Googleで画像検索してみてください。虫が苦手な方に配慮し、害虫の写真は掲載していません。
この記事を見て分かること
■ チョウバエの対策
■ サカマキガイの対策
■ アメリカミズアブの対策
■ 蚊、ゴキブリの対策
魅惑のハート型羽のチョウバエ!知っておきたい対策法と駆除方法

チョウバエの特徴
■ 繁殖力が強い
■ 部屋に入ってくる
■ 殺虫剤が効きにくい
■ 羽がハート型の茶色のハエ
■ 汚れた場所、水回りに発生する
チョウバエは非常に繁殖力が強く、1回の産卵で200~300個の卵を産み、約20日で成虫になって飛び回ります。
この茶色い虫は羽がハート型で、網戸や換気扇から侵入し、お風呂や部屋に入り込むことがあります。
一般的な殺虫剤を使用してもなかなか駆除できず、出現率も高いため、日々現場で苦労しています。
具体的な対策としては、マンホールを開けてキンチョールなどの殺虫剤を中に振りかけ、数分間蓋を閉めておくことで、チョウバエを駆除することができます。
管理の度にこの作業を行い、チョウバエの発生を抑制しています。
定期的に駆除しているのでご安心ください!
マンホール周辺から害虫が出現する場合、槽内に「バポナプレート」を吊るすことで、約3ヶ月にわたって殺虫効果を持続させることができます。
このプレートは殺虫効果のあるガスを発しており、槽内に潜んでいる隠れた害虫に対して非常に効果的です。
春や夏といった虫が繁殖しやすい季節に、バポナプレートを吊るすことで、効果を実感することができます。

サカマキガイが浄化槽内で暴れまわる!その特徴と対策法とは?
サカマキガイの特徴
■ 透明のゼリー状の卵
■ 繁殖力がとても強い
■ エサが豊富の場所に多くいる
■ モノアラガイ類とは殻の巻く向きが逆
■ 弱アルカリ性、硬水での水質で繁殖しやすい
サカマキガイは浄化槽内の微生物や汚泥など何でも食べてしまう雑食性の生物であり、そのため水質の悪化を引き起こす要因となります。
この行動は、水をクリーンに処理するために「重要な微生物や汚泥を」食べてしまうからです。
さらに驚くべきことに、サカマキガイは非常に繁殖力が強く、「雌雄同体」であり、わずかな数の個体でも驚くほど早い速度で増殖していきます。
写真では少し見づらいかもしれませんが、水が白濁していることが分かりますね。
このような白濁は、浄化槽内の微生物や汚泥を食べるサカマキガイの活動によって引き起こされる可能性があります。

サカマキガイの発生原因は、側溝からの逆流、点検道具やバキュームホースへの付着などが考えられます。
駆除の対処法としては、定期的にサカマキラーという薬剤を散布することが有効。ただし、この「薬剤は一本あたり3000円と高価」となっています。
さらに、大雨による側溝や河川からの逆流があった場合、再びサカマキガイが繁殖する可能性があり、完全な駆除は非常に困難な貝です。
実際にサカマキラーを使用し効果を紹介した動画はこちら↓
ぜひ一度お試しください。サカマキラーの使用は、実際に体験してみる価値があります。水質の改善やサカマキガイの駆除に効果があることを実感できます。

浄化槽を脅かすアメリカミズアブ幼虫の侵入!対策は?
アメリカミズアブの特徴
■ アブの一種
■ 大量に沸く
■ 繁殖力が強い
■ 成虫になると飛び回る
■ 汚れた場所が住処
■ とにかく見た目が不快
アメリカミズアブは、正式には「フェニックスワーム」と呼ばれており、日本では便所バチで知られています。
成虫になると、マンホール周辺をよく飛び回ることがあります。
この虫の幼虫は、「見た目が不快で大量発生し、不快な臭い」を放ちます。浄化槽にとっては潜在的な被害をもたらす存在です。

水質維持の要、浄化槽の定期清掃の重要性とは?
定期的な浄化槽清掃は、不快な害虫の繁殖を防止するために必要です。
浄化槽では、最初の段階で固形物と液体が分離され、重いごみや食べかすは底部に集まります。
一方、軽いごみや底部で生成されるガスは上部に溜まり、「スカム」と呼ばれる固まりに形成されます。
※閲覧注意
以下の浄化槽清掃動画には、浮きカスが映っています。
スカム上部に生息するミズアブの幼虫は、本来のスカムの固め役を阻害することがあり、その結果、「周囲に不快なニオイが発生する」可能性があります。
混ぜ混ぜするぜ~
アメリカミズアブの対処方法としては、「バポナプレートもしくはバポナうじスティックが非常に効果的」です。
バポナうじスティックをスカム上部やマンホールの周辺に散布することで、ミズアブの幼虫を効果的に駆除することができます。
周辺に散布する理由は、マンホールから幼虫が這い上がってくることを防止するためです。
もし周囲に不快なニオイや、マンホール付近を飛び回る虫が存在する場合は、バポナうじ殺しという商品が非常に有効です。
番外編
「ヤブカ」と「アカイエカ」は、私たちを刺すとかゆくなり、夜中に耳元でブンブンという不快な音を立てます。
余談ですが、「ユスリカ」という蚊は、見た目は似ていますが人間の血を吸わないことが知られています。
蚊にもいろいろな種類がいます
浄化槽内は一年中暖かく、虫にとっては快適な環境です。
特に夏にはヤブカの発生が増えるため、虫よけスプレーは必需品です。
また、ゴキブリに対してもバポナプレートやキンチョールが非常に効果的です。
これらを浄化槽内に設置することで、ゴキブリの駆除が可能となります。
ゴキブリの見た目は確かに気持ち悪いかもしれませんが、害はありません。
(※気持ち悪いということが害ですね)
虫が忍び込むリスク高い場所TOP3!侵入を防ぐ対策もご紹介

■ 換気扇
■ 網戸、扉
■ 家の隙間
効果的な虫対策!換気扇を付けっぱなしにする理由
お客様からは、「部屋に虫が入ってくるのですが、なぜでしょうか?」という相談をよく受けます。
換気扇を常に稼働させている場合は、虫が入り込むことは少ないですが、実際には頻繁にON/OFFに切り替える方が多いと思います。
そのため、換気扇が虫の侵入経路となってしまうことがあります。
網戸越しに侵入する虫たちを効果的に防ぐ方法

網戸や扉に関しては、最も虫が出入りしやすい箇所であるため、多くの方が想像できるかと思います。
網戸を使用しているにもかかわらず、なぜ虫が入ってくるのかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、網戸は傷付きやすく、わずかな衝撃で網が広がってしまいます。
このように広がってしまった隙間から虫は容易に侵入することができるため、「定期的に網を張り替えたり、網目が細かいものに交換すること」をおすすめします。

さらに、網戸の近くに植木鉢やバケツなどの水がたまる受け皿を置いているお宅をよく見かけます。
「蚊は水たまりのある場所に卵を産みつける」ため、水を定期的に捨てることを意識するだけでも、蚊の発生を予防することができます。
古い家の隙間からの侵入を防ぐための対策ポイント
最近は高気密・高断熱という言葉をよく耳にしますが、昔の古い家では「経年劣化によるヒビ割れや地震の振動による歪み」などが原因で、隙間が生じることが多いです。
新築やリフォームを行う際は、このようなことも考慮に入れておくと将来的な生活の快適さにつながると思います。頭の片隅に留めておくと良いかもしれません。
おわりに
地方や自然が多く、山に近い地域では虫の繁殖も増える傾向があります。
害虫を効果的に駆除して、「快適な浄化槽ライフ」をお過ごしください。
以上現役浄化槽管理士による、害悪や害虫に関するシリーズでした。
害虫の対処方法に関心を持っている方々にとって、上記のシリーズは参考になると思います。ぜひご活用ください。
雌雄同体とはオスにもメスにもなれること!