バキュームカー(衛生車)の役割とは?仕事内容と活用事例を解説
バキュームカーの仕事についてご興味をお持ちの皆さんへ。給料、体力的負担、ニオイなど、気になる点について詳しく解説いたします。
私は10年以上にわたり浄化槽業界での経験を持ち、以前はバキュームカーの運転を担当していました。そこで、皆さんの疑問に分かりやすくお答えするため、この記事を作成いたしました。
記事では、バキュームカーの具体的な仕事内容や役割を詳細に解説しています。さらに、給料についての一般的な相場や、仕事に要求される体力的負担についても触れています。また、バキュームカーの作業中のニオイについても言及しています。
バキュームカー作業の魅力と仕事内容

まず、バキュームカーの仕事は、主に「浄化槽や汚水溜めの中に存在する汚泥や排水を吸い上げること」です。
この作業は、通常は浄化槽の定期清掃を目的として行われます。また、トイレの詰まりなどのトラブルが発生した場合にも出動することがあります。
3K

この仕事は一般的に「3K」と呼ばれ、キツイ、臭い、汚いというイメージがあります。
浄化槽業界では、この仕事がキツくて辛い、臭いがきつくて嫌な匂いがする、そして汚れていて不潔といった要素が強調されています。
実際のところはどうなのか?解説していきます。
バキュームカー作業の体力要件
体力には個人差があることはもちろんですが、私はこの仕事が体力的につらいために辞めていく人を一人も見たことがありません。
むしろ、「人間関係や汚物に対する生理的な不快感などが原因」と感じることが多いです。
実際には、他の重労働と比較して、重い物を持つことがあまりないため、体力的にはそれほどきつくありません。
体力的にはそこまでキツくない
バキュームカー作業のニオイ対策!

ニオイには個人差があるため、難しい問題ですよね。
作業中には、バキューム車の周辺からニオイが発生することがありますが、現場で作業をしている間は、あまり気にならないことが多いです。
(完全にニオイがしないわけではありません)
また、この業界では、ニオイや汚物の状態を見ると、家庭の状況を推測できることがあります。例えば、「油を頻繁に使用しているか、嘔吐や糖尿病のニオイがする」などです。
そのような現場では、独特なニオイがあるため、ニオイに敏感な方にとっては少し辛いかもしれません。
体にニオイが染みつくんでしょ?
と言われたりもしますが、それは「都市伝説」です。
汚泥が付着すると、ニオイはつきます。
ただし、誰もわざと付着させたいとは思わないでしょうから、注意深く作業をすれば、付着を防ぐことができます。
また、体にニオイが染み付くことはありません。洗えばニオイは取れます。
さらに、バキュームカーの運転席は無臭です。運転席は普通のトラックと変わらないため、安心して乗車することができます。
バキュームカー作業の危険性を徹底解説!安全第一のポイント

どんな仕事でも危険はつきものですよね。
バキュームカーの仕事は、ほとんどが運転業務です。
そのため、当たり前ですが、「一番気をつけるべきことは運転」です。
狭い道路も頻繁に通ります。左右のミラーを両方たたまないと進めないような細い道路もあるため、「運転技術が非常に向上」します。
バキュームカーを長年運転している方は、本当に運転が上手です。
浄化槽を1〜2件清掃すると、タンクがいっぱいになるため、処理場に吸引した汚泥を捨てに行く必要があります。
作業中に注意すべきことは、ホースが通行人に引っかからないようにすることや、ホースが車に踏まれないようにすることです。
吸引中には「ホースがうねうね動くため、花壇やお客様のものを傷つけないように注意が必要」です。
基本的に、作業員は2人で1組となります。
1人は吸引作業を行い、もう1人はホースを引っ張ったり、水道水を準備したりと、作業を円滑に進める役割を担います。
1人で作業しバキューム車を運転する方は、自分のペースで仕事の段取りを行うため、人間関係のストレスを感じることはほとんどありません。
バキュームカーコックの重要事項!

気を付けること
■ コックを開いて排出をかける
■ 圧が掛かっている場合は中立にする
排出を行う際に、コックを開けずに作業を行い、後で気付いて慌ててコックを開けるという素人の方がいます。
しかし、このような行為は圧力が非常に高くなるため、非常に危険です。周囲に汚泥が飛び散る恐れがあるため、特に注意が必要です。
もしもこのような事態が発生した場合は、まず「中立にすることで圧力を確実に抜くことが必要」です。その上で、再度コックを開けるようにしてください。
先輩が真っ先に教えてくれることだと思います。
バキュームカーの操作方法は簡単で、「レバーを左に倒せば吸引、右に倒せば排出が可能」です。
一度この業界で働くと、他の業種で働くのが辛く感じる人が多いです。
会社を辞めたとしても、同じ業種の別の会社に転職する人がたくさんいます。やることさえやっていれば、非常に自由度が高い仕事だと思います。
バキュームカーの給与事情

結論からいうと平均年収450万円ほどです。
■ 20代の給料 20万円
■ 30代の給料 30万円
■ 40代の給料 40万円
あくまで参考程度にご覧ください。
この業界には、少ない会社もあれば、逆に多い会社もたくさんあります。
人が嫌がる仕事とはいえ、この給料かぁ~と思った方や、意外と多いんだなと思った方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、汚水処理場が定時に閉まるため、残業はほとんどなく、土日・祝日が休みの会社も多く、福利厚生もしっかりしているところが多いです。
また、「人がいる限り仕事がなくなることはないため、長く続けられる職業」だと思います。
バキュームカー作業員が語る!困難を乗り越えた3つのエピソード
仕事なので大変なのは当たり前ですが3つ選んでみました。
■ 汚水が飛び散る
■ ホースの中が詰まる
■ 距離のある現場
①汚水が飛び散る

それぞれの家庭で汚泥の状況は全く異なります。
紙の使用が多い家庭では、水分が全くなく、吸引や排出を何度も繰り返して清掃を行っています。
以下は参考となる動画です。
浄化槽の清掃中に手元が滑ったり気を緩めると、ホースが暴れて汚水が飛び散り、服に付着してしまうことがあります。
一般的には、ホースを突っ込むだけで吸引できると思われるかもしれませんが、実際には技術や知識も必要であり、清掃の仕上がりは人によって大きく異なります。
このような問題を解決するためには、以下の点に注意する必要があります。
まず、ホースを使用する前に周囲の状況を確認し、汚水が飛び散らないようにするための準備を整える必要があります。
また、ホースをしっかりと固定することも重要です。素手で作業をしている方もいますが、手袋を装着することで衛生的で滑りにくくなります。
さらに、ホースを突っ込むだけでなく、適切な角度や深さで挿入することが重要です。
ホースを回転させたり往復運動させることで、より効果的に汚れを吸引することができます。
以上のように、浄化槽の清掃には技術や知識が必要であり、丁寧な作業が求められます。しっかりとした準備と注意を払い、安全かつ効果的な清掃を心がけましょう。
腕の見せ所です!
下記の動画では、実際に私が合併処理浄化槽の清掃作業をしています。
興味がある方はぜひご覧ください。ただし、汚物が苦手な方は閲覧を控えてください。
動画の中で参考になる点があれば、ぜひ活用していただければと思います。
清掃方法は現場や人によって大きく異なりますが、最終的な目標は清潔さを実現することです。皆さんが自分にとってやりやすい方法で清掃を行うことは問題ありません。
②ホースの中で詰まる
使用者や現場の条件に応じて、バキュームカーホースの長さは異なることがあります。例えば、長い人であれば70メートル、短い人であれば30メートルなど、個人の好みや作業環境によって変わります。
ただし、ホースが長くなると吸引力が低下し、作業に時間がかかる可能性があるため、適切な長さを選ぶことが重要です。
また、ホースが詰まってしまった場合は、どこで詰まったのかを確認し解消する必要があります。詰まりの解消は経験が必要であり、初めての場合は時間がかかり大変な作業です。
ホース先端が詰まってしまった場合、手で汚物を取り除く必要がありますが、飛び散る可能性があるため注意が必要です。詰まりを防ぐためには、吸引作業に慣れて、適切な技術を身につける必要があります。
以上のように、バキュームカーホースを使った作業には慣れや経験、技術が必要です。
③距離のある現場
場所の立地や条件によっては、作業現場でホースを約70メートルも引き出す必要がある場合があります。そのため、作業時間が1時間以上かかることもあります。
さらに、距離が長い場合は、車両を2台使用して現場に向かい、ホースを接続して100メートル以上の長さが必要になることもあります。
まとめ

どんな仕事でも大変な側面は変わりませんが、この仕事にはやりがいがあり、「お客様からの感謝の言葉を頻繁にいただく」ことがあります。
また、お客様からのチップやジュース、食べ物の提供などがあるため、思いがけない収入につながることもあります。
現場が日々変わることもあり、気分転換にもなります。地図を見ながら現場に向かうことで道に詳しくなったり、新たな発見をすることもあります。
この仕事がどのようなものかに興味を持っている方や、これからこの仕事に就こうと考えている方にとって参考になれば幸いです。