浄化槽:私たちの暮らしを支える不可欠な設備の重要性とは?

多くの方が浄化槽について十分な知識を持っておらず、維持管理が適切に行われていない現状があります。
適切な維持管理が行われないと、不衛生な環境や水質汚染が引き起こされ、健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
ですから、浄化槽に関する正しい知識を身につけることは、「未来の地球や子供たちを守るために非常に重要」です。
動画でわかりやすく見たい方はコチラ↓
浄化槽にはさまざまな種類があり、それぞれ独自の特徴があります。
自宅にどの種類の浄化槽があるのかを知ることや、「定期的な点検、清掃、法定検査の実施は重要」です。
浄化槽は、私たちが生活する地球のために欠かせない設備であり、適切な維持管理によって、健康で快適な生活環境を保つことができます。
本記事では、浄化槽を使用している方や、浄化槽を導入する予定の方向けに、わかりやすく網羅的に浄化槽の基礎知識を解説しています。
この記事を見て分かること
■ 浄化槽って何?
■ 浄化槽維持管理とは?
■ 浄化槽清掃とは?
■ 浄化槽ブロワーとは?
■ 浄化槽の法定検査とは?
浄化槽とは?一般家庭に設置している汚水処理装置!

■ 浄化槽とは一般家庭版汚水処理場
■ 合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の2種類がある
■ 点検、清掃、法定検査の受検が必須
■ 定期的な検査を行うことで環境が守られている
浄化槽は、下水道が整備されていない地域や将来的に整備が予定されていない地域でよく使われる「家庭用の汚水処理装置」です。
浄化槽は一般家庭だけでなく、病院や学校、工場などの施設でも合併浄化槽を使用して汚水を処理しています。
生活排水を未処理で放流すると、川や海の生物や環境に深刻な影響を及ぼすため、浄化槽は環境保護のために必要不可欠な装置です。
しかし、浄化槽の普及率は全国的にまだ10%程度であり、認知度は低い状況です。
また、汲み取り式トイレと浄化槽は全く異なるものであることに、誤解を抱かれる方もいらっしゃいます。
汲み取り式トイレと浄化槽は別物!
浄化槽と汲み取り式トイレには「共通点」が存在します。
それは、どちらも「バキュームカー(衛生車)」による汲み取り作業や浄化槽の引き抜き清掃が必要とされることです。
都会では下水道の普及により、浄化槽や汲み取り式トイレの使用はほとんど見られなくなりましたが、地方ではまだまだ多くの設備が存在し、バキュームカーも活躍しています。
さらに、都会でも外仕事の現場やイベントなどの仮設トイレにおいては、バキュームカーの需要があり、今後もなくなることはないと言えます。
清掃作業時には、バキュームカーに搭載された燃焼式脱臭器が煙を発生させながらニオイを除去します。この際、発生する煙はおならのようなニオイです。
「ニオイを消すためにニオイが出るの?」と疑問に思われるかもしれませんが、実際には大きな違いがあります。
現在では、バキュームカーから発生するニオイも以前に比べて大幅に軽減されており、煩わしいニオイに悩まされることは少しづつではありますが少なくなっています。
以上のように、バキュームカーの燃焼式脱臭器によってニオイが取り除かれることで、作業現場や周囲の環境への悪影響を最小限に抑えることができます。
余談ですが、下水道や浄化槽を使用している場合に、ニオイが発生することがあります。
それは、流しているものが流しているものだからです。
下水道は完全にニオイが発生しないわけではありませんが、浄化槽と比較するとニオイの発生頻度は低いとされています。
一方、浄化槽には複数のマンホールがあり、しっかりと閉めていない場合や劣化、使用状況によってニオイが発生する可能性があります。
そのため、「下水道と比較すると浄化槽の方がニオイの発生頻度が高い」とされています。
ただし、浄化槽の正しいメンテナンスや管理を行うことでニオイの発生を抑えることができます。定期的な清掃や点検を行い、マンホールの密閉状態を確認することが重要です。
以上のように、適切な浄化槽の維持管理によってニオイの発生を最小限に抑えることも可能です。
合併処理浄化槽の処理能力に迫る!

一般家庭で使用される浄化槽には、「合併処理浄化槽」と「単独処理浄化槽」の2種類があります。
合併処理浄化槽は、家庭で使用される「全ての生活排水」を処理することができます。
生活排水には、BOD(生化学的酸素要求量)という汚れの指標があります。
一般的に、人は1日約40gほどの汚れを排出していると言われています。
合併処理浄化槽は、このような生活排水中の有機物を微生物によって分解し、浄化する役割を果たします。
■ し尿(13g)
■ 洗濯、お風呂(9g)
■ 台所、洗面台(18g)
合併処理浄化槽は、BOD除去率が90%以上となっており、「40gの汚れを最大4gまで減らす」ことができます。
BOD除去率とは、浄化槽がどれだけ効果的に有機物を分解し、浄化することができるかを示す指標です。
合併処理浄化槽は高い除去率を持ち、生活排水中の有機物を効率的に処理することができます。
単独処理浄化槽の処理能力について
単独処理浄化槽は、トイレにのみ接続されており、「洗濯やお風呂、台所、洗面台などの排水は処理されず」に直接側溝や河川に放流されています。
単独処理浄化槽のBOD除去率は65%以上とは高くありません。
したがって、同じ使用状況を想定すると、合併処理浄化槽に繋がっている全ての生活排水を処理する能力がある一方、単独処理浄化槽ではかなりの量の汚水が残留することになります。
これにより、単独処理浄化槽は合併処理浄化槽と比べて処理能力が制限されており、環境への負荷が大きくなる可能性があります。
適切な浄化槽の選択は、地域の環境保護と健康な生活環境のために重要です。合併処理浄化槽の利用を検討し、生活排水を適切に処理することが推奨されています。
■ し尿(約5g)
■ 洗濯、お風呂(9g)
■ 台所、洗面台(18g)
1日に人が排出する汚れの指標は約40gであり、単独処理浄化槽の場合、約32gが未処理のまま側溝や河川に放流されてしまいます。
つまり、約80%の汚水が未処理のまま環境に放出されることになります。
環境への負荷が大きくなり、水質汚染や生態系への影響が懸念されます。
単独処理浄化槽の問題と解決すべき課題!
■ 現在、単独処理浄化槽は設置できない
■ 合併浄化槽への切り替えが推奨されている
■ 補助金もある
単独処理浄化槽は処理能力に限界があるため、「平成13年4月1日以降は新たな設置が禁止」されています。
現在、新設工事を行う際には、合併処理浄化槽の設置が義務付けられています。
すでに単独処理浄化槽を使用している地域では、合併処理浄化槽への切り替えや下水道への接続を推奨しています。
ただし、切り替えには費用がかかるため、容易に行えない場合もあります。
地域によっては浄化槽補助金が提供されている場合がありますので、自身の居住地域と浄化槽補助金を検索してみることをおすすめします。
例えば、一番小さな5人槽の場合、地域によって異なりますが、「数十万円の補助金」が受けられる場合があります。
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浄化槽維持管理の鍵!保守点検、清掃、法定検査の重要性を徹底解説!

浄化槽を所有する方が必要な義務
■ 保守点検
■ 浄化槽清掃
■ 法定検査
浄化槽を所有する方には、以下の3つの義務があります。
- 定期的な保守点検
- 浄化槽の清掃
- 法定検査
浄化槽保守点検は、国家資格である「浄化槽管理士」が行う必要があります。
定期的な点検を行い、浄化槽の動作状況や異常がないかを確認することが大切です。
また、浄化槽清掃も定期的に行い、汚泥や詰まりを防ぐ必要があります。
最後に、法定検査も定期的に行い、地方自治体の基準に合致しているかを確認することが必要です。
下の動画ではそれらを簡単にわかりやすく解説しています。
浄化槽が定期的なメンテナンスを必要とする仕組みであるため、「保守点検が重要」です。
適切な維持管理が行われていない浄化槽は、ただ汚物をため込むだけの容器となり、環境に大きな悪影響を及ぼします。
そのため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。これによって、浄化槽は常に効率的に機能し、周囲の環境への悪影響を最小限に抑えることができます。
国家資格を持つ浄化槽管理士は、適切な点検とメンテナンスを通じて浄化槽の水質向上に貢献しています。
浄化槽の種類に応じて適切な点検を行い、日々のメンテナンスを実施します。これにより、浄化槽の状態を正確に把握し、必要な調整や修理を行うことができます。
専門知識と経験により、浄化槽管理士は浄化槽の効率的な機能を維持し、周囲の環境への悪影響を最小限に抑えることができます。
浄化槽管理士の存在は、私たちの生活と地球環境において非常に重要な役割を果たしています。
人間の体と同様に、浄化槽も「早期発見によって修理費用を最小限に抑える」ことができます。
私は浄化槽の管理業務を通じて、維持管理が怠られた浄化槽を多く目にしてきました。
定期的な維持管理を行うことで、トラブルを早期に発見し、予防することができます。
どんな物でも放置すると、埃や汚れがたまり、サビが付着することはよくありますよね。
それらと同様に、毎日使用する浄化槽も定期的なメンテナンスが必要です。
消毒剤の不足や機械の故障などの問題は頻繁に発生します。
これらの問題を放置すると、浄化槽が詰まったり、不十分に処理された水が周囲の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
浄化槽は定期的な管理が必須!
浄化槽維持管理の重要性と環境への影響!

点検や清掃中に、何か異常が発生した場合、お客様からは「こんなことが起きていたなんて知らなかった」という反応がよくあります。
点検も、清掃もしているのになんで異常が起きるの?
私たちは適切なアドバイスを提供し、問題を解決することが重要であると考えています。
多くのお客様は浄化槽や下水道などの設備についてあまり知識を持っていないため、問題に気づかないことがよくあります。しかし、問題が放置されるとより深刻な状況に発展する可能性があります。
私たちはお客様が理解しやすい言葉で丁寧に説明し、適切なアドバイスを提供する努力をしています。
そして、お客様が安心して生活できるように、問題解決に向けて最大限の努力を尽くしています。
お気持ちわかります。
他のことに例えるとわかりやすいと思うので例文を2つ用意しました。
例①:車で例えると、車検を受けた翌日に何かしらの問題が起きたという方もいらっしゃると思います。
車検を受けても、その後に予期せぬ問題が起こることがあるのと同様に、浄化槽も定期的な点検や清掃、法定検査を受けていても異常が発生することはあります。
例②:例えば、あなたが毎日病院に通っていたとします。
ただ、病院に通うことで病気やケガを防ぐことはできません。ですが、定期的に通院をしていると早期発見することができます。
浄化槽も同じで、定期的な維持管理を行うことで、異常を早期発見し、かかる費用も最小限に抑えることができます。
私たちは常に異常のない状態を目指して、浄化槽の管理を行っています。
環境破壊による生物多様性の減少 ホタルや川魚の減少

かつては、家の周りでホタルや川魚を観察できる光景がありましたが、現在ではそれが見られない場所が増えています。
ホタルや川魚は清澄な水環境を好むため、浄化槽の維持管理が適切でない地域だけでなく、環境全体に大きな影響を与えていることは疑いありません。
下記の動画では、浄化槽の維持管理の重要性について説明しています。一部の場面に苦手な方に不快感を与える可能性があるため、ご注意ください。
地域による保守点検回数の違いに注意!

浄化槽法第10条によれば、浄化槽の「保守点検は年に3回以上」行うことが義務付けられています。
ただし、合併処理浄化槽の場合は、年に3回の点検回数では異常対応や消毒剤の管理が追いつかないことが多いため、「年に4回以上の点検を推奨」しています。
最低限の点検回数は年に3回以上ですが、それ以上の回数には明確な規定はありません。地域によっては年に6回や毎月点検を実施する場合もあります。
点検回数が多いほど、1回あたりの費用は通常安くなる傾向があります。
また、大型浄化槽では毎日点検が必要な場合もあります。
効果的な汚れ引き抜き作業で快適な環境を実現

浄化槽法で、清掃回数は規定されており、「原則として1年に1回以上の清掃が必要」とされています。
ただし、浄化槽の型式によって清掃頻度は異なる場合があります。
例えば、単独処理浄化槽の中でも、全ばっき型の場合は容量が小さいため、「6ヵ月(半年)に1回以上の清掃が必要」とされています。
こちらが全ばっ気型です↓
清掃しないと起こる問題
■ ニオイ、汚れが外に流出
■ 槽内の装置が故障する
■ 早期発見が遅れる
浄化槽清掃を実施しないとニオイがでます。
浄化槽の運転を維持するためには、「堆積汚泥」という指標が重要です。
この指標は、浄化槽内に蓄積された汚泥やスカムの量を測定し、清掃のタイミングを判断するための目安となります。型式ごとに目安が定められており、基準を超えると清掃が必要とされます。
清掃を怠ると、浄化機能が低下し、不快な臭いや装置の損傷のリスクが高まります。そのため、適切なタイミングでの清掃が重要です。
浄化槽管理士は、メンテナンス計画を立て、浄化槽の効率的な運転を維持し、清掃のタイミングを清掃員とお客様に伝える役割を果たします。
以下の動画では、堆積汚泥について詳しく解説しています。
汚泥の蓄積が引き起こすガス発生の危険性!
下の動画では実際にガス抜き作業を行なっています。
浄化槽内では、汚泥が蓄積され、その処理過程で「メタンや亜硝酸性窒素ガスが発生」します。
しかし、保守点検や清掃を怠ると、ガスが槽内にたまり、ろ材を押し上げて槽の破損の原因となります。
溜まった汚泥の重みでネットが耐えられなくなり、ろ材が抜け落ちたり、ネットが破損することがあります。
これらの問題は、定期的な保守点検や清掃によって予防することができます。定期的な点検と適切なタイミングでの清掃が重要です。
ガス抜きしないと槽内の装置が壊れる
ろ材の機能が低下すると、浄化槽の処理性能が低下する可能性があります。
修理が必要になると、「費用は軽く10万円を超えてしまう」こともあります。そのため、定期的なメンテナンスを行うことで、浄化槽の寿命を延ばすことができます。
浄化槽清掃!槽内確認で効果的なメンテナンスを可能に

定期的な浄化槽の清掃は、点検では見逃してしまった状態を目視で確認することができます。
定期的な清掃によって、問題が発生する前に異常を発見し、適切な対策を講じることができます。これによって、より深刻な問題に発展することを防ぐことができます。
正常な浄化槽を保つために年1回以上の清掃がおすすめ!
※例外として使用頻度が少なく、そこまで汚れが溜まっていない場合は「2年に1度の清掃」など、臨機応変に対応してくれる地元業者も多いと思います。
逆に、使用頻度が多く汚れが多い場合は、1年に1回の清掃では正常な浄化機能が保てないため「1年に1回以上」の清掃を行わないといけません。
浄化槽清掃のプロに学ぶ!必要な知識と技術

浄化槽には1槽、2槽、ばっ気槽と、それぞれ異なる役割を持つ部屋があります。
浄化槽の1槽目には、沈殿分離槽と呼ばれる「固形物と液体」を分離する槽があります。
底部には水よりも重い汚泥や食べカスが溜まります。上部には、底部で出たガスや水よりも軽いゴミや油が溜まっていきます。
浄化槽を使用していると汚れが溜まりスカムもどんどん大きくなっていきます。
下の動画ではスカムを解説しています。
浄化槽清掃のベストタイミングは?
底部に「汚泥やスカムが溜まる目安はおよそ一年」であり、それ以上溜まると汚泥が外に流出する危険があるため、定期的な清掃が必要です。
最近の合併処理浄化槽は非常にコンパクトになっており、使用頻度によっては一年持たずに汚れが槽内いっぱいに溜まる現場もあります。
そのため、環境保護のために、汚れの量に合わせて適切な清掃回数を増やすことが推奨されています。
汚れの量に合わせて清掃回数を増やそう!
清掃をする際に使用する車が「バキュームカー(衛生車)」です。
バキュームカー乗っていると、初心者の方によく言われることがあります。
ホースを突っ込むと吸引できるんでしょ?簡単そうだね。
実際はそれほど単純ではありません。
下の動画では実際に浄化槽清掃をしています。お時間ある方はご視聴のほどよろしくお願いします。
国家資格が無くてもバキュームカーの操作は可能ですが、浄化槽清掃技術者という国家資格があるほど、「浄化槽を清掃するには知識、技術が必要」です。
当然、初心者の方とベテランの方では清掃の仕上がりもかなり違ってきます。
浄化槽管理業者の選び方!良い業者の特徴とポイント

良い会社の特徴
■ 対応が早い
■ 愛想が良い
■ 人が変わらず安定している
浄化槽管理会社は数多く存在し、契約金額も様々です。
お客様にとっては、安い方が魅力的に感じるかもしれませんが、それは全くの誤解です。
安価な会社は、対応が遅く、接客態度が悪いことが多いです。業務が適切に運営されていないため品質が低下している可能性があります。
したがって、信頼できる連携が取れている会社を選ぶことが重要です。このような会社は余裕があり、担当者の対応や接客態度も良い印象です。
また、「点検や清掃のたびに担当者が変わる会社は避けた方がいい」でしょう。
優れた会社は、従業員の定着率が高く、お客様にとっても安心感があります。会社の人材や組織体制にも注目して選ぶことが重要です。
信頼できる業者と契約しましょう。浄化槽は重要な資産です。
浄化槽維持管理費用の相場!予算計画に役立つ参考情報
清掃費用は地域や浄化槽のサイズによって異なります。
一般的な目安としては、最小の5人槽の場合、「約20,000円程度」です。ただし、具体的な料金は業者や地域によって異なるため、事前に確認することが重要です。
私の家は3人家族なのになんで7人槽なんだろう?
保守点検と清掃の料金を合計すると、年間でおおよそ4万円になります。
この金額を365日で均等に割ると、1日あたり約109円です。
さらに、法定検査料やブロワーの電気代なども考慮する必要があります。
浄化槽や下水道の排水処理費用は、どちらも必ず発生するものです。
ブロワーとは?微生物や配管に命を吹き込む浄化槽の心臓

■ 微生物、配管に空気を送り循環している
■ 微生物処理している
■ 大きくわけて2種類の微生物が生息している
■ ブロワーが故障するとニオイの原因になる
■ ブロワーが壊れると水質が悪くなる
汚水を効果的に浄化処理する方法は、微生物による有機物(汚れ)の分解です。微生物は汚れを分解する過程で増殖し、その増殖した微生物は水より重くなります。
重くなった微生物は底部に沈み、汚泥となります。この汚泥は「汚泥返送配管」を通じて最初の槽に戻され、汚泥が貯留される仕組みになっています。
この仕組みによって、汚泥は定期的に返送され、浄化槽内に汚泥が蓄積されるのです。

微生物には、空気を必要とする「好気性微生物」と空気を必要としない「嫌気性微生物」の2種類が存在します。
好気性微生物は酸素を必要とするため、酸素を送る役割を果たすのがブロワーとなります。ブロワーが故障して空気が供給されなくなると、好気性微生物が死滅し、浄化処理が効果的に行われなくなります。
その結果、水質が悪化し、不快なニオイの原因になります。

また、ブロワーが止まると配管(散気管)の吹き出し口や管内に汚れが詰まり、正常に空気が吹かなくなります。
下の動画で解説しています。
嫌気性微生物は、1槽目と2槽目で有機物を分解して「二酸化炭素やメタンなどの汚泥」に変えています。
一方、好気性微生物は主に有機物を「二酸化炭素や水、窒素などに」分解しています。
浄化槽の維持管理の鍵!法定検査の役割とは?

お客様から最も多い質問の一つは、「7条検査」と「11条検査」とは何ですか?というものです。
■ 7条検査とは、浄化槽を設置後3ヶ月経った日から5ヵ月間のあいだに検査するもので、「使用開始時の1回のみの検査」となります。
浄化槽が適正に設置されているか、水の流れは問題ないかなど検査しています。
■ 11条検査とは、「毎年1年に1回検査をする」こと。
浄化槽が適正に機能しているか、管理業者は点検、清掃を適正に実施しているかなどを検査します。
多くの方が7条検査は受け終わっていると思うので以下の3つを覚えていて下さい。
維持管理は共同生活のルール!快適な環境を守るためのポイント

上記3つ、「全て合わせて浄化槽維持管理」です。
管理者(これを見ているあなた)は浄化槽維持管理では、上記の維持管理とは?でお伝えしたように、「保守点検、清掃、法定検査」この3点セットになっているからです。
私自身も皆さんの気持ちをよく理解しています。
私は保守点検や清掃を行えますが、法定検査は専門家にお任せしています。
例えば、自分で車の整備をすることができても、車検を受ける必要があるように、浄化槽の適切な維持管理には法定検査が必要です。
法定検査を受けることで、安全で健全な環境を維持することができます。そのため、「法定検査を受けないことは環境保全に対する責任を果たさないこと」になります。
「法定検査は必要ない」と主張する人は、浄化槽の適切な維持管理について知識がないため、自分自身のことしか考えていないと言えます。
浄化槽管理者は適切な維持管理を行い、環境保全に貢献することが大切です。
法定検査は2重取りだ!受ける意味あるの?
お客様からは、「2重取りになっていないのか?」、「法定検査を受ける意味はあるのか?」といった疑問の声もあります。
法定検査は「第三者目線で浄化槽の正常な機能や水質基準の適正検出、そして適切な清掃や保守点検が行われているかを検査すること」が目的であり、保守点検や清掃とは異なります。
法定検査を受けることで、お客様が依頼している民間業者が適切な仕事をしていることを証明し、水質や浄化槽に異常がないことを確認できるため、信頼できる業者を選ぶことができます。
また、民間管理業者とは別に、法定検査センターという機関が存在し、お互いが気を引き締め、環境保護に向けて取り組んでいます。
このように、法定検査に合格することは極めて重要であると言えます。
実際、業者によっては手抜きをする場合がありますので、信頼できる業者を選び、定期的な法定検査を受けることで、浄化槽の適切な維持管理に努めることが大切です。
ここでいきなり問題です!浄化槽管理士試験に出た問題です!
水温に関する次の記述のうち、最も間違っているものはどれか?
(1)消毒剤の溶ける速度は、水温に影響されない
(2)水温は、透視度、PH、DOは現場測定項目である
(3)水温は微生物の活性化に影響を与える
(4)飽和溶存酸素濃度は、水温が低いほど高い
(5)採水した水温は、外気温や直射日光の影響を受ける
正解は!1番です!消毒剤の溶ける速度は水温に影響されます。水温が高いと溶解速度も上がります!
「臭い物に蓋をする」ということわざがあるように、問題を表面的に隠しても、根本的な解決にはならないということを理解しましょう。たとえその時点で嫌なニオイがしなくても、それは一時しのぎに過ぎないことを忘れないようにしましょう。